管理の見直しについて
賃貸住宅を取り巻く環境が様々に変化していく昨今、オーナー様にも、対応・対策していかなければならない課題・問題が存在します。
今後を見据え、生き残る・競り勝つ賃貸運営を行うためにも、管理の見直しをおすすめします。
・法令の改正
・空室率・競争率の上昇
・賃料の下落
・店舗間・建物間・号室間での競争
・外国籍・高齢者への対応
・将来への対策
・管理委託費等
法令の改正
随時対応していかなければならない法律や各地域の条例等の改正ですが、近年の特に大きな改正として、令和2年4月1日に施行された改正民法が挙げられます。
中でも、注目すべき事項は次の3点です。
■敷金について | 【定義】 敷金とは、「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。」ものとされました。 【返還義務】 「賃貸人は、敷金を受け取っているとき場合において ①賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき。 ②賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき。 は、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。」とされました。 |
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■原状回復について | 「賃貸人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。 ただし、その損傷が賃借人の責めに帰すことができない事由によるものであるときは、この限りでない。」とされました。 |
■(連帯)保証人について | 従来では無限保証となっていた賃貸借における連帯保証人(個人根保証契約)について、極度額を定めなければ保証契約が有効に成立しないものとされました。 →従来通りの連帯保証人を立てる場合は、極度額の設定が必要 |
この改正により、家賃保証会社の利用や連帯保証人の審査の厳格化、退去に伴う原状回復・敷金返還での入居者とのトラブルの回避等が必要になってくると考えられます。
空室率・競争率の上昇
日本では少子高齢化が進行し、賃貸住宅のメイン層となる学生や社会人の若年層が減少しています。
また、年ごとの賃貸住宅の供給数・開発数はほぼ横ばいですが、築年の古い物件も一定の需要があり建て替わらないため、供給総数としては増加傾向にあります。
これに対し、
●都市部への流入数の増加(特に東京・横浜・川崎)
●海外からの移住者の増加
●晩婚化の進展・生涯未婚率の増加
といった需要増加の要素もあるため、一概に空室率の大幅増加と言い切れる訳ではありませんが、全体の空室率は徐々に上昇しています。
さらに、
●各種技術の向上・新サービスの開発による利便性・満足感を求められる。
●賃貸サイト・アプリの充実やSNS・情報サイトの台頭により、情報の比較や新情報の取得が容易になった。
ということで築浅物件やリノベーション物件の人気が高まってきているため、既存住宅では、周囲の物件との競争率が年々上昇していきます。
賃料の下落
建物・設備の経年変化に加え、近隣物件の競争率の上昇等により、賃貸住宅は年が経過するごとに賃料が低下していきます。
周辺開発の活発化、交通等環境の変化によっては、大幅な賃料下落の想定が必要になる場合があります。
店舗間・建物間・号室間での競争
かつて、世間一般の人々にとって、賃貸住宅を取り巻く環境は大部分が閉ざされたもの、あまり詳しくわからないものでした。
このため、部屋探しの際には不動産会社にお任せするのが一般的でしたが、インターネットの発展に伴って多くの情報に入居者が自ら触れられるようになり、賃貸住宅は世間に広くアピールし、入居者を勝ち取っていくものになりました。
現在では、仲介手数料の割引や付加サービス等を行う店舗・会社が増え、店舗間での入居者の獲得競争が行われています。
この競争は店舗間だけではなく、同じ地域内での建物間、同じ建物内での号室間でも行われています。
その結果、契約更新するより引っ越す方が費用負担が少ないケースが出てくる等変化が増え、賃料の低下だけではなく、稼働率の低下にも影響を与えています。
安定した賃貸運営をしていくためには、対応・対策が必要となってきています。
外国籍・高齢者等への対応
入居者の募集に際し、「高齢、障害、国籍等の理由により民間賃貸住宅への入居の機会が制約されることがないように」すべきものとされています。
特に外国籍の入居者については、入居申込者の国籍を理由に賃貸借契約の締結を拒絶したことの不法行為責任が認められた判例もあり、オーナー様も今後の対応の検討が必要ですが、言葉の壁・文化の壁・母国の法律と日本の法律は別物であること等、なかなか簡単に応じられるものではありません。
外国籍の方にも高齢の方にも、対応を可能とする適切な知識・準備を整えることで、引いては入居率の上昇にもつながります。
将来への対策
賃貸住宅、特に賃貸マンションの将来を考える上で、「このまま持ち続けるべきか、時期を見て売却するべきか。」とはよく話題にされる問題です。
これは永遠の難問であり、人によって、また状況によって答えが変わってくるものですが、どちらを選ぶとしても重要となってくるのは「資産価値を向上させる。」ということです。
特に賃貸住宅にとっての最重要ポイントは、持ち続ける場合はもちろん、売却の場合も「賃料」になります。
賃貸住宅を売却する場合の価格設定では、建物・設備自体の評価ではなく「収益率」を基準にすることが一般的ですが、この「収益率」の元になるのが「賃料」です。
試しに「利回り5%」となる価格で売却する場合を計算すると
このように、賃料が変わると売却額に大きな影響を与えます。
未来の資産価値向上のためにも、賃料の維持・アップということを考えていかなければなりません。
管理委託費等
管理費(管理委託費)やサブリースにおける保証賃料等についても、相場や収益率との比較等見直しが必要な場合があります。
現在ご自身で管理をされているオーナー様も管理会社に委託されているオーナー様も、今後様々な課題・問題に直面する機会があると思います。
今後も安定した賃貸運営をされていくためにも、一度管理の見直しをおすすめします。
まずは小さなお悩み・気になることでも構いませんので、お気軽にご相談ください。
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